ニーアオートマタ - ストーリー考察Part1|ヨルハ計画の真相と黒幕の正体について ※ネタバレ注意!

『ニーアオートマタ(NieR:Automata)』のストーリーや設定・世界観について考察します。本作の重大なネタバレを多分に含むため、閲覧には注意してください。第1回目の考察はヨルハ計画の真相と、謎に包まれた黒幕の正体に迫ります。果たして計画の首謀者は何者なのでしょうか。

※本記事は『ニーアオートマタ(NieR:Automata)』のストーリーについて、重大なネタバレを多分に含みます。
閲覧は本編クリア後を推奨するとともに、自己責任で行っていただくことをご留意ください。
「ネタバレは嫌だ!」という方は以下からTOPに戻れます。

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

ストーリー考察:今作から読み取れる情報と考察

ニーアオートマタ-トップ
第1回目のストーリー考察では、今作『NieR:Automata』の本編中から読み取れる情報を中心に考察してみよう。
本編中では明かされることのない「ヨルハ計画」の首謀者とは、どのような存在なのだろうか。

 

ヨルハ計画とは


高い戦闘能力を持った新型アンドロイドであるヨルハ型を生産・運用する計画。
表向きは月面に逃げ延びた人類を守るため、機械生命体との戦いのために生み出された決戦兵器ということになっている。

しかし実は人類はすでに滅亡しており、そのことに気付き始めて戦意を失いつつあるアンドロイドたちを奮起させるために存在する。
要はプロパカンダである。

計画の中でヨルハ型はある時点ですべて廃棄されることが決定されており、はじめから使い捨てにされる予定だった。
処分することが前提のヨルハ型に人格を持たせることは倫理に反するという理由で、ヨルハ型にはほかのアンドロイドのような人格AIが搭載されていない。
また、ヨルハ型アンドロイドには機械生命体のパーツが使用されている。
敵側の技術を利用していることから秘匿されている事実であり、ゲーム内でブラックボックスと呼ばれるものがこれに当たると思われる。
通常の人格AIの代わりに、ブラックボックスによる擬似人格プログラムを使用しているとも読み取れる。

ただし、廃棄される事実は最上級機密であり、司令官クラスのアンドロイドにも知らされていない。
計画の手はず通りにヨルハ型アンドロイドの拠点であるバンカーは機械生命体に奇襲され、EMP攻撃をきっかけとしたウィルスによってその大半が失われた。

2Bは戦闘に特化したB型(Battle型)であるとされるが、実は反乱や暴走を起こしたりヨルハ計画の真相に気づいてしまったヨルハ型を抹消するために製造されたE型(Exclusion?)である。
9SはS型(Scanner)型であり、高度な情報処理能力を有していることからヨルハ計画の真相に近づく可能性が危惧されており、実際にそうなってしまった。

A2はヨルハ型の初期ロットである近接戦闘特化のA型(Attacker型)であり、最初の降下作戦の唯一の生き残り。
しかし行方を眩まして単独行動しており、逃亡兵として指名手配されている。
機械生命体を倒すことに執念を燃やしており、初登場時に入手するトロフィーから復讐が動機であると読み取れる。
また、終盤の描写から降下作戦時に、後述する機械生命体ネットワークの統合意識と接触しており、その際にヨルハ計画の真実について聞かされていたのではないかと思われる描写がある。
A2は自身を含めたヨルハ型アンドロイドが廃棄されることを知っていたため、司令部に戻らず単独で行動していたというわけだ。

黒幕の正体は?


以上は作中で判明する情報の一部であるが、ではヨルハ計画を指揮する黒幕は誰なのか。
司令官ですらその全貌は知らされておらず、作中ではヨルハ計画の立案者は不明のままである。
以下はあくまで筆者の仮説であり、公式の情報でないことについては留意してもらいたい。

まず、黒幕の正体を考察するにあたり、ヨルハ計画の目的を再確認してみよう。

”戦意を失いつつあるアンドロイドたちを奮起させるため”であり、つまるところ戦い続けることを目的としている。
しかし、考えてみるとそれは少しおかしい。
なぜなら人類はすでに滅亡しており、守るべき対象のいない現状、アンドロイド側に戦い続ける理由がないのだ。
にも関わらず、なぜアンドロイドの戦意を向上させるような計画がなされたのか。

結論から入ると、黒幕は”機械生命体の意思そのもの”ではないかというのが筆者の仮説だ。

作中で入手できるアーカイブなどからは、以下の情報を読み取ることができる。

  • 機械生命体は人類側(アンドロイド)と戦い続けることを目的に、エイリアンによって生みだされた。
  • すべての機械生命体はネットワークで繋がっており、統合意識としての人格が存在する。
  • 機械生命体は「戦うこと」が存在理由である反面、相手を滅ぼしてしまっては戦う相手がいなくなるため、「戦ってはいけない」という矛盾を抱えることになった。
  • この矛盾を解決すべく、あえて統合意識に欠陥した部分を設け、個体ごとの多様な進化を促した。
  • その結果生まれたのが「パスカル」や「森の王」などの特殊な個体である。
  • 一方で機械生命体の統合意識は自らの欠陥部分を、月の量子サーバーに保存された人類の遺伝子データを取り込むことで補完しようとした。
  • 保存されていた人類情報を取り込んだ結果、統合意識は「赤い少女」として発現した。

「赤い少女」は本編Bエンディングや3週目以降のストーリー終盤に姿を見せ、誕生の経緯などは3周目クリア後に追加されるアーカイブで確認できる。
ここで重要なのは、機械生命体は「戦い続けること」を目的としている点だ。
上述したヨルハ計画の目的と合致しており、アンドロイド側と違って計画遂行に理由がある。
ヨルハ計画の首謀者にとっては、戦い続けることそのものが重要だったのである。

A2の初降下作戦時に、機械生命体がヨルハ計画の真相を知っていたのも納得というものだ。
ヨルハ型に使用されていた機械生命体のパーツについても、マッチポンプであったとするなら説明がつかないだろうか。


ヨルハ型アンドロイドに随伴しているポッドは計画の全貌を知っており、計画が正しく遂行されるようヨルハ型の行動を監視している。
もしかすると、彼らも機械生命体の技術で作られていて、ネットワークに組み込まれているのかもしれない。

なぜヨルハ型を廃棄する必要があった?

あいうえお
疑問となるのはなぜヨルハ型のアンドロイドを廃棄する必要があったのかということだ。
戦い続けることが目的なのであれば、残しておいても良かったはずである。
9Sのように真相に近づくアンドロイドの出現を恐れたにしても、なにもすべてのアンドロイドを処分する必要はないはずだ。
それこそ、E型に処分を任せても良かっただろう。
最終手段としての対応策を用意しておく程度ならまだしも、最初から廃棄を前提にするのは少しやりすぎな気もする。

想像の域を出ないことだが、機械生命体はヨルハ型アンドロイドが自我を持つことを危惧したのではないだろうか。
機械生命体は人類データを取り込むことで、自我の獲得や多様な進化の可能性を見出した。
ヨルハ型に使用されているブラックボックスにも人類データが秘められていたのだとすれば、ヨルハ型もいずれ自我に目覚めるだろう。
もし自我に目覚めたアンドロイドが戦いを放棄するようなことがあれば、ヨルハ計画の根幹を揺るがしかねない。
自我を獲得してしまう前に、用済みになったヨルハ型を廃棄してしてしまおうとしたのかもしれない。

もう1つ、機械生命体黒幕説を唱える上での疑問がある。
ヨルハ計画の真相に近づいたものを排除するためにE型モデルを作り出しておきながら、A2や9Sにはヨルハ型廃棄の事実について明かしてることだ。

機械生命体の統合意識である「赤い少女」はヨルハ型アンドロイドたちを観察している。
Bエンディングでは2Bと9Sを見守るように現れる「赤い少女」を確認できるし、アーカイブでは2Bたちやアダムを見て影響を受けていることが分かる。
これもまた想像の域をでないことであるが、真実を知ったアンドロイドがどのような行動に出るのかサンプルとして観察対象にしたのではないだろうか。

次回は前作『NieR Replicant』のストーリーを踏まえ、さらに考察を深めたい。
前作のエンディング後から今作までの間に何があったのか、隠された設定や背景を読み解いてみようと思う。

第2回ストーリー考察
第3回ストーリー考察
第4回ストーリー考察
 

※この記事はあくまで筆者の解釈であり仮説です。
論拠としては不十分な部分が多々あるため、ぜひ皆様のご意見やご感想をお聞かせください。
ご指摘もお待ちしております!

 

Leave a Reply



18 Comments

  1. ヨルハ計画自体を機械生命体が作ったとなるとアーカイブにある「ヨルハに通常アンドロイドと同じIAを入れない理由が倫理的観点から」ってところに矛盾しませんか…?
    これが公に公開されている理由というなら偽装として分かりますが、そもそも機械生命体のコアをヨルハに入れている事自体指揮官にも明かさない最高機密ですし、あそこに嘘を書く理由がありません。
    とは言え人類が滅んだ後人類陣営のアンドロイドが戦う意味は……
    完全に推測ですが、月には人類の遺伝子データが保存されており今後大規模な研究により復活の目処があるとかではないでしょうか。
    そのためには地球の奪還(研究資源や場所の確保)が不可欠だとか…?

    • 貴重なご意見ありがとうございます!
      後の考察でも記述していますが、私も人類データの保存と人類の再生が計画されているのではないかと推測しました。
      未だ詳細の明らかになっていないブラックボックスや赤い目、魔素の存在などは怪しい匂いがプンプンします。

      また、ヨルハ計画の立案や実行には機械生命体は関わっておらず、アンドロイドと裏で手を組んでいたということもないようです。

  2. ヨルハ計画の黒幕が機械生命体だとすると、なぜ塔から月へ攻撃しようとしたんでしょうか?月が攻撃されるということは、アンドロイドにとっては人類が滅亡する、ということを意味するのではないでしょうか、DATAのノベルにある「9Sの記憶」から引用するならば、アンドロイド達の拠り所を奪う、ということです。そしてその場合、アンドロイド達の戦う理由がなくなってしまいます。

  3. ヨルハ計画を機械生命体とその概念情報が最初から仕組んだ罠だとする説は、もしかするとミスリードなのではないかと思う時があります。
    残されたゲシュタルト計画の内容、月面サーバー(4200年頃の旧型量子サーバー)の記録、様々な情報からヨルハ計画は人類復活の一貫(地球奪還という目的は変わらず)で、統括管理はゲシュタルト計画から引き継いだ「次世代保存計画準備委員会」だと私は思いました。
    委員会もヨルハも、人類のために存在し、そのために機械生命体排除を第一とし、次世代兵器・アンドロイドの製造のための実験組織としてヨルハを立ち上げたのでしょう。
    として機械生命体とその概念情報は、その計画に乗じ、月面サーバーに触れ進化した自身を、エイリアンの呪縛(飽くなき闘争)から解放されるために、アンドロイドと人類(の痕跡)を完全破壊し自己矛盾を克服することでN2自我の完成と更なる進化を求めた、と私は推測しました。
    次世代保存計画準備委員会ですが、序盤で名前が出て来るアコールの監視組織と同様、どこかで高みの見物をしていたのでしょうか。塔が出現しているというのに、姿を一切出さない余裕っぷりにはアコール並の謎を感じます。

    • 非常に興味深いご意見です!
      思わず唸ってしまいました。

      たしかに、塔内部の描写などからミスリードを誘っている可能性もありますね。
      ヨルハ計画がゲシュタルト計画の延長線上にあり、人類再興のために存在するというのもあり得る話だと思います。

      塔が建設された当初の目的や結果的にどのように使用されたのかなどを考えると、機会生命体の目的が見えてくるかもしれません。

      • 他にも、「機会生命体はエイリアンに戦争を存在意義としてインプットされているから、アンドロイドが必要な存在であり、これが人類を失っているアンドロイドにも同様の事がいえる」という意見をよく見ますが、この点も個人的にはミスリードに感じます。
        実際には、戦争終結を望んでいるアンドロイドや、その後に新たな仕事に就きたい、探したいと語るアンドロイドもいますし、どの組織の仕業かは分かりませんが(恐らく計画を統括している組織が)デボポポの仕様を上書きしていますので、創造主を失ったことで自己アップデートができない機会生命体とは異なり、隠蔽している人類という存在がある限りアンドロイドは多様性に富んでいると思いました。
        自らの存在意義についてアンドロイドが必要だと判断したのは、自我を獲得した概念情報が自己矛盾に気づいた結果であり、必ずしもアンドロイド側も存在のために機会生命体を必要としたかと言われれば疑問です。
        次世代保存準備委員会は、エイリアンの襲撃がなければ恐らくは人類再生に勤しんだと思われますが、襲撃によって戦闘型アンドロイドを必要とした。
        人類を保管し、月の秘密を守るためには、現時点では存在しない人類を偽装し逸脱者が出ないよう士気を上げ、奪還を第一の目的としたのでしょう。
        ヨルハはアンドロイドと機会生命体のハイブリットですが、Eエンドで機会生命体は宇宙に旅立ちます。当初は月の破壊を目的としながら、宇宙に旅立つに至った思考ルーチンの変化は、恐らくは月の秘密を知り、バンカーを破壊され本来であれば戦うという存在意義を失ったはずのA2、9Sが正常に動作し、自らの意思のもと行動している姿を見て、自ら機会生命体を愚かと悟ったのかもしれません。
        また、完全に憶測でしかない事ですが、機会生命体とそのコアを用いたヨルハだけが暴走時に眼が赤くなるのは、エイリアンがコア製造に花を利用した可能性がありますね。

        • あ……ともすれば、花を用いたことによって機会生命体は自己進化を繰り返し、創造主であるエイリアンを滅ぼし失ってもなお停止することなく、人類を滅ぼすという行動原理に縛られていたのかな…
          もしそうだとすれば神も、それを残していった花もオリジン世界にとっては迷惑この上ないですね

          • とても勉強になりました。
            アンドロイ側が戦争を自らの存在理由としていないという点については私も同意です。
            暴走時の赤い目に関しては次回の考察で少し触れています。
            花を利用して作られたというのも充分に考えられますが、私は魔素によるものではないかと考えました。

            よろしければ次回考察もぜひご一読の上、ご意見をいただければ幸いです。

    • 今作でもアコールは関わっているようですね。
      ウェポンストーリーも彼女によるものでしょう。
      この世界を観測しているだけなのか、それとも武器を流通させるなどで何らかの形に誘導しているのか、直接ストーリーに登場しないだけに気になる存在です。

  4. この考察とは全然関係ないけどイブの胸に天使の教会の印がなんであったのか気になるw
    黒くなる時に左胸にあるのおかしいですよね、たまたまなんでしょうか

    • ご指摘ありがとうございます!
      処刑という意味であれば仰るとおりExecutionなのですが、この記事では排除や除外という意味のExclusionではないかと考察しました。
      もしE型の由来がExecutionであると明言されていたなら、申し訳ございません!
      私の勉強不足です。

  5. ヨルハ計画を立ち上げたアンドロイドが登場していない理由としては、
    ①登場させたとしても主人公達がそのアンドロイド達をどうにか出来るわけがなく、破壊されてバッドエンドになるだけだから、あえて出さなかった
    ②リアルの事情(開発コストや時間的制約)で登場させる余裕が無かったから
    ③あえて登場させないことで、『黒幕のアンドロイド=この世界の私達人類』という風に重ね合わせることが出来るようにした。いわゆるメッセージ性を残したかったから

    などが思いつきました。もちろん全部私の想像に過ぎませんが。
    ③は、これからAIなどの技術が発達していき、人類が、AIを搭載して自我を持ったロボットたちを駒のように扱うようになるだろう。それがどういうことなのかということを、駒であるアンドロイドの視点に立ってプレイすることで、プレイヤーに気づかせるということです。

    ヨルハ計画をアンドロイドが実行した理由は、『自分達の創造主である人類が住んでいた地を奪還することで、人類への弔いにするため。機械生命体に占領されたままでは、自分達の愛する人類が、死んでも死にきれないだろうから』『戦意を失ってしまうと、機械生命体に自分達が破壊されてしまうだけだから。自己防衛のために戦い続けることを選んだ』などが思いつきました。

    ヨルハ機体に機械生命体のコアを流用していたのは、敵である機械生命体と同類の人格を持つアンドロイドならば、壊すことに躊躇しなくても済むからではないでしょうか。

    ただ、これらはあくまで推測の域を出ない説です。記事主さんの説にも、『真相を知ったアンドロイドがどういう行動に出るかをサンプルとしてとりたかった』などの否定しきれない部分がたくさんあります。

    • ヨルハ計画をアンドロイドが実行したとするなら、私も貴方の考えに同意します。
      このあたりは次回の考察で少し触れる予定ですが、エミールが関係しているなんて考えもおもしろいですね。

      処分に躊躇しないために機会生命体のコアを流用したという考えは目から鱗でした。
      倫理観とはそういうことなのかもしれません。

      ③の黒幕=私たちの世界の人類という考えはとてもおもしろいです!
      今作はかなりストーリーの解釈をプレイヤーに委ねられているように感じるので、このような意図があったのかもしれませんね。

  6. ヨルハ撤廃の理由は次の新兵器に世代変更するためみたいなことも言ってた気がする2Bがウイルスに感染してるときに月からの無線で新兵器ができたみたいなことも言ってたから月に人類がいないことを知るアンドロイドを無くす&新兵器への世代変更この二つを同時に出来るようにこういう計画になったと思う

    • 世代以降するという話はたしかにありましたね。
      開発経緯からヨルハ型の存在自体が不利益になる可能性も考えると、たしかに納得の理由です!