ニーアオートマタ - ストーリー考察Part4|設定資料集の情報に基づいた答え合わせとヨルハ計画首謀者の謎 ※ネタバレ注意!

ニーアオートマタ(NieR:Automata)のストーリーや設定・世界観について考察します。本作の重大なネタバレを多分に含むため、閲覧には注意してください。第3回目の考察は先日発売された攻略設定資料集で明かされた新情報を基に、前回までの考察の答え合わせと新たな謎について考えていきます。

※本記事は『ニーアオートマタ(NieR:Automata)』や前作『ニーアレプリカント(NieR Replicant)』のストーリーについて、重大なネタバレを多分に含みます。
閲覧は本編クリア後を推奨するとともに、自己責任で行っていただくことをご留意ください。
「ネタバレは嫌だ!」という方は以下からTOPに戻れます。

前回までの考察は以下からどうぞ。 

以下の記事では関連した情報を取り扱っています。
『ニーア』世界の年表とおもな出来事
設定資料に隠されたメッセージについて 
 

 
 

 
 
 
 

  

『ニーアオートマタ』攻略設定資料に基づいた考察

ニーアオートマタ トップ
先日発売された攻略設定資料集では、数多くの新情報が明かされている。
前回までの考察におけるいくつかの疑問も解消することができたので、答え合わせをしてみよう。
新たな疑問や残された謎についても考察したいと思う。

 

ヨルハ計画の黒幕≠機械生命体


第1回考察において、ヨルハ計画を主導していたのは機械生命体ではないかという仮説を述べている。
しかしこれは誤りであり、本作ディレクターのヨコオタロウ氏自身の口から「アンドロイド側と機械生命体が裏で繋がっていることはない」とはっきり否定されている。
本編中で明かされる通り、人類軍司令部(人類会議)が実際には存在しない組織であり、強いて言えば月面の人類サーバーが計画の司令部に当たるということだ。
アンドロイドと機械生命体の戦争を取り仕切る上位組織のようなものも存在しない。

また、計画を立案したのはある1人のアンドロイドであるという。
このアンドロイドの詳細な情報については現在未公開である。

 

ヨルハ型アンドロイドの廃棄は「人類生存の偽装情報」を完成させるため


ヨルハ計画では初めから「あるタイミングでの全ヨルハ型アンドロイドの廃棄」が織り込まれている。
この理由について「ヨルハ型が自我を獲得するのを恐れた」と推測していた。
実際には「戦闘データが蓄積して次世代モデルへ移行する段階で、ヨルハ計画に関わるすべての情報を廃棄し、人類が生存しているという偽装情報を完成させるため」というのが正解になるようだ。

当該記事のコメントでは見事この点を指摘している方がいる。
ゲーム内から得られる情報を正しく分析し、真相に理解を得ていたこの方に拍手を送りたい。

 

ブラックボックスと自我データ


ヨルハ型アンドロイドに搭載されているブラックボックスは機械生命体のコアを転用したものであるが、自我データはこれに由来するものではないようだ。
そもそも機械生命体ネットワークの自我については曖昧で、ヨコオ氏は「自我の定義が難しいため回答できない」とコメントしている。
しかし機械生命体は月の人類サーバーからデータを取得しているため、もしヨルハ型アンドロイドに備わっている自我データが人類サーバ内に残された人物の情報を参照しているのであれば、結果的に同じ人格のデータを保有している可能性はあるだろう。

ちなみに、ヨルハ型の形式番号の数字部分は自我データを表しているため、A2と2Bは同じ自我データを持っているということになる。

ブラックボックスについては以前の考察で、中にゲシュタルトが封じられているのではないかという仮説を立てている。
これについて明確な答えはないものの、ゲシュタルトを封じ込めて造られた「黒の書」が存在したことから、あながち的外れという訳でもないかもしれない。
魔素を利用して魔法を行使できた「黒の書」のように、ヨルハ型アンドロイドの戦闘スキルも魔素を利用している事実からも関連性を見出せそうだ。
ただし「エミール」のように、ゲシュタルトとは関係のないところで魔素を攻撃などに利用する技術は存在する。

ブラックボックスと自我データに関する補足として、機械生命体のコアは封じられているため、基本的にコア内の記憶データなどが移植されることはない。
もっとも、コアに記憶領域をコピーした後、コアからアンドロイドを汚染することで記憶を移すことは可能であるようだ。

 

『NieR:Automata』のタイトルに込められた意味


仮に人類サーバーに残された特定の人物の情報が、ヨルハ型アンドロイドや機械生命体の自我データの元となっているとしよう。
その場合気になるのは、主要人物たちの自我データが誰のものであるかという点だ。

もちろん、プレイヤーの知るところではない一般的な人物の情報である可能性もあるが、シリーズに登場したキャラクターの人格が関わっているとしたらどうだろう。
ゲーム内でも情報の保存が確認されている「ヨナ」や、魔王を倒した(ということになっている)「カイネ」の人格情報を備えた者がいてもおかしくはない。
そして、世界から存在自体が消え去ったはずである「ニーア」の情報が保存されていたとすれば。

少し話が変わるが、設定資料集には数字と記号の羅列で埋め尽くされたページがあり、それらをある方法で読み解くと意味のある文章になる。
詳細はこちらの記事を参照してほしい。
この暗号メッセージでは本編エンディング後を描いたと思われるショートストーリーのようなものが隠されている。

ショートストーリーではポッドが9Sの自我データを修復しており、その過程で9Sの心理描写が表現されている。
9Sと思われる人物は「ニイチャン」と呼ぶ人物に語りかけた後、2Bにも同様に語りかけており、その後は「ニイチャン」と2Bを混同しているような描写へと続いている。

「ニイチャン」と言われると、どうしても「ニーア」のことを連想してしまう。
もしも、9Sに備わっている自我データが「ヨナ」を元にしたものであるならば、深層心理で「ニイチャン」と混同した2Bの自我データは「ニーア」が元になっているのではないだろうか。
だとすると、同一の自我データが使用されているA2の人格も「ニーア」が元になっていることになる。

機械生命体側ではアダムとイブの人格にも「ニーア」や「ヨナ」のデータが影響していそうだ。
イブは兄であるアダムを強く慕っており、特徴的な腕の紋様もアダムの指示によるものである。
もしもアダムに「ニーア」の、イブに「ヨナ」の影響が強く出ているのなら、アダムは黒文病に侵されたかつての妹の姿を無意識的に引きずったことで、イブにこのような指示を出したのかもしれない。
さらに「赤い少女」が自身を「N2」と名乗ったことも、2Bらと同じ自我データを参照しているためだとすれば、ここでも「ニーア」が深く関わっていることになる。

この仮定が正しいとすれば、『NieR:Automata』という本作のタイトルも意味のあるものになる。
主要人物であり、物語の中核を担う2BやA2、アダムらは、まさに「ニーアの機械人形」と呼べる存在かもしれない。
これは呪いか。それとも罰か。」という本作のキャッチコピーは、人類の滅亡を確定させた「ニーア」の自我による問いかけと考えられないだろうか。

 

エイリアンはやっぱり宇宙人だった


機械生命体を生み出したエイリアンについて、第2回考察では「レギオン」や「レッドアイ」のなれの果てではないかと記述している。
しかし設定資料集においてエイリアンは地球外から飛来した宇宙人であると明示されており、残念ながらこの仮説は誤りだったようだ。
地球への移住を目的に飛来した彼らは機械生命体を用いて人類軍に侵攻したものの、機械生命体の自己進化がエイリアンのそれを上回ったために、結果として全滅したというのが大筋である。

ただし、ヨコオタロウ氏への質問の中で「機械生命体やアンドロイドの目が暴走時に赤くなるのはレッドアイと無関係ではない」という旨の発言をしていることから、エイリアンが機械生命体を生み出す過程で魔素を利用した技術を用いていると推察できる。
魔素には人類に対する「神の呪い」が込められており、「従属か死か」を選択させて死を選ばなかったものが「レギオン」や「レッドアイ」へと変容するためだ。
人格を持たない機械が魔素の呪いに侵されるとは考えづらいため、機械生命体には人間のものに即した自我が備わっているのではないだろうか。
ヨルハ型アンドロイドにも同様の現象が起こることから、やはりコアには自我へと結びつく人類の情報が込められていると考えられる。

魔素を扱う技術を保有しているエイリアンは、もしかすると『DOD』世界から飛来した存在なのかもしれない。

なお、機械生命体がエイリアンに反抗したのは「P33」の啓発がきっかけになっているようだ。
「P33」は前作の「ロボット山」に登場したボスキャラクターであり、今作の「廃工場跡地」は彼が生産された場所である。
絵本「たましいのひ」で描かれている「火山が噴火して出現した神様」は彼を指しており、絵本「たいせつなもの」「おやごろし」の内容と併せることで、「生きる意味」に目覚めた機械生命体が自らの親にあたるエイリアンたちの殺害に至るまでを垣間見ることができる。

「ヨルハ計画」首謀者の正体は?

あいうえお
以下では「ヨルハ計画」を立案した者の正体について、改めて考察したいと思う。
設定資料集から読み取れる重要な情報については以下の通り。
こちらの世界年表とおもな出来事についても参照してほしい。

  • 「ヨルハ計画」はある1人のアンドロイドが立案した
  • 立案者と機械生命体が裏で繋がっていたりはしない
  • 立案者は「敵の技術を流用して作られたヨルハ型アンドロイドが(高貴な)人間と同じ振る舞いをすることは許されない」という理由から感情を禁止した
  • ヨルハ型アンドロイドが黒を基調とした衣装を身に着けているのは立案者の意図によるもの
  • 本編エンディング後に「黒い服のアンドロイド」が目撃されている
  • バンカーのバックドアから機械生命体が侵入している形跡があるにも関わらず何者かによって抹消されている
  • バンカーのバックドアを通して「ヨルハ計画」の情報が機械生命体に漏洩することは当初から織り込まれていた
  • ヨコオタロウ氏からのメッセージ『呪いの元凶は「大災厄」の日』

ただし、これらの情報はかならずしも首謀者に関連するとは限らない。
例えば本編エンディング後の時系列で確認されたという「黒い服のアンドロイド」については、ヨルハ型アンドロイドの生き残りであり、すなわち2Bたちの復元に成功したことを示唆するものとも考えれる。

 

首謀者の不可解な意図


謎に包まれた首謀者の正体であるが、大きな疑問として残るのは「なぜ機械生命体にヨルハ計画の情報が渡ることを黙認したのか」という点だ。
そもそもヨルハ計画の目的は人類軍に属するアンドロイドの戦意高揚を促すためだ。
立案された時点で「ヨルハ計画」の情報をすべて廃棄し、情報偽装を完成させるところまでが計画に含まれている。
にも拘わらず、なぜ情報が漏洩して拡散するようなことを許したのであろうか。

首謀者の行動原理は「人類のため」という点で一貫しており、その思想は人間を徹底的なまでに敬愛しているものと見受けられる。
アンドロイドであるがゆえともいえるこの性質は、利敵行為などするはずがないだろう。
だとすれば、機械生命体が「ヨルハ計画」の情報を手に入れること自体、人類軍にとって必要なことだったということになる。

機械生命体が計画の情報を得ることで、「赤い少女」の発現や「方舟」によるアダムらの旅立ちを促す一助になっているのだとすれば、首謀者の狙いはそこにあったのかもしれない。
以前の考察で述べた通り、可能性を求めて外宇宙へと旅立ったアダムらは、新たな人類として文化の再生を担える存在になると判断したのではないだろうか。
それにしても、まるで未来を見通しているかのような計画である。

 

アンドロイド内における首謀者の立ち位置


ヨルハ部隊に上位組織などは存在せず、実態のない「月面人類会議」のもと、すべてのアンドロイドが並列に存在している。
計画の首謀者も例外ではないはずであるが、これだけ大掛かりな計画をたった1人で立案・実行できるとなれば、やはり一般的なアンドロイドとは異なる来歴を持つ存在であろう。

人類軍設立当初は「人類遺産再生管理機構」という組織が中心となって各地のアンドロイドを統合していったようだ。
「人類遺産再生管理機構」は前身である「人類遺産調査委員会」から移管する形で設立されており、アンドロイドたちの中央政府としての役割も担っていた。
あるいは計画の首謀者もこのあたりから関わっている古株であり、人類軍内部において強い発言力を保持しているのかもしれない。

前作『NieR Replicant』開始以前の時系列では、あるアンドロイドと4人のレプリカントによって「レギオン」が壊滅され、世界を浄化したとある。
計画の首謀者との関連性は定かではないものの、この時点から世界の歴史にかかわる存在が『オートマタ』でも生き残っているのであれば、重要参考人であることに疑いの余地はない。

 

「デボル」「ポポル」説


レプリカントの生産・管理をするアンドロイドとして「ゲシュタルト計画」の際に生み出された「デボル」と「ポポル」は、前作において「ニーア」に倒されている。
しかし同型のアンドロイドは複数存在しており、世界各地でレプリカントの管理に携わっていた。
いわば最古のアンドロイドであり、前項にある「レギオンを滅ぼしたアンドロイド」もこのタイプであった可能性が高い。

今作においても「デボル」「ポポル」が登場しており、かつて同型のアンドロイドが起こした暴走事件の罪の意識に苛まれている。
他者と深く関わろうとしない彼女たちが「ヨルハ計画」立案したのだとすれば、人類の再生を促すことで贖罪を果たそうとしたのではないだろうか。
前作に登場した「デボル」「ポポル」は「ゲシュタルト計画」実行のために「レプリカント・ニーア」を欺いており、それが間接的な要因となって人類を滅亡へ導いたとも言える。
人間のために造られたアンドロイドが人間を滅ぼす遠因となっては、人間に対する過剰なまでの敬愛精神に至ることもあり得るだろう。

ヨルハ型アンドロイドの黒衣装について、前作における黒は「黒文病」や魔王が持つ「黒の書」など、レプリカント・ニーアにとってネガティブなイメージを象徴する色である。
敵のパーツによって「汚染されたアンドロイド」を裏付ける戒めとして、黒い衣装を選んだのかもしれない。
感情を禁止したことも、かつての暴走事件を省みた結果とすれば説得力が増す。

ただし、暴走事件を起こした「デボル」「ポポル」型のアンドロイドは、ほかのアンドロイドから厳しい評価を受けていると想像できる。
人類軍内での発言力や実権は無に等しいだろう。

しかし首謀者であるアンドロイドは1人であるため、この仮説が正しい場合は「デボル」か「ポポル」のどちらかということになるが、ニコイチの印象が強い彼女たちなので何となく信用に足りない気もする。

 

「アコール」説

『DOD』シリーズから登場する世界の観測者であり、今作においても存在が語られている謎の多い女性である。
『ニーア』世界のそれとは異なった来歴を持つものの、「アンドロイド」という区分であれば彼女も容疑者に含まれるだろう。
多元世界に複数のアコールが存在し、何らかの目的を持って複雑に分岐する世界のあらゆる事象を記録している。
基本的に世界に対して不干渉の姿勢であるが、『DOD3』においては「フォールダウン」の予兆を感じ取り、その世界の分岐を封鎖しようとした。

少し話が逸れるが、ヨコオ氏が語る「大災厄」について補足しておく。
「大災厄」は『DOD』シリーズの時系列において根幹となっている出来事であり、すべての物語のスタートラインである。

超大規模な震災が起こると同時に、一夜にして巨大な都市(教会都市)が出現。
世界中に魔素が溢れだし、異形の存在が姿を現すようになる。
世界の理すら変えたこの「大災厄」は、アコールが危惧していた「フォールダウン」とも何らかの関係があるようだ。

もしアコールが「ヨルハ計画」首謀者として『ニーア』世界に干渉しているのだとすれば、この「大災厄」や「フォールダウン」を阻止するためかもしれない。
これらの現象は未だ詳細不明であるが、少なくともアコールにとって望ましくないものであることは間違いない。

ここからは根拠のない想像となるが、アコールが忌避しているのは「大災厄」そのものではなく、それによって引き起こされる「世界のループ」ではないだろうか。
突飛な発想ではあるが、時間が一定の方向に流れているわけではないということをアコール自身が語っている。

『ニーア』シリーズや『DOD』シリーズでは時系列の上で「存在し得ない未来の産物」が存在しており、「世界ループ説」はファンの間でしばしば話題の種となっている。
今作においては「塔」内部に『DOD3』の教会都市を連想させるような描写が複数あり、「大災厄」を通して『DOD3』世界に持ち込まれループするのではないかという説も見かけた。
だとすれば、ヨコオ氏のメッセージは「大災厄を起点にループする世界が形成されている」ことを指すのかもしれない。

ループしているということは、その世界において分岐が発生しないとも捉えられる。
分岐する世界のさまざまな事象を記録するアコールにとって、目的を阻害されているも同然だ。

まとめると、ある世界にとっての可能性の行き止まりを回避するため、ループからの脱却を目指すアコールによって立案されたのが「ヨルハ計画」であるという仮説だ。
ループする世界すら観測可能なアコールによるものであれば、未来を見通しているかのようなこの計画にも納得できる。

 

「黒の書」説

ニーアオートマタ_黒の書
ある意図からヨルハ型アンドロイドの衣装を黒にした、という記述から安直に首謀者を連想した仮説である。
前作の最終決戦において失われた「黒の書」であるが、実はアンドロイドに姿を変えて「ヨルハ計画」を立案したとすればどうだろう。

あくまで人類の生存を目的に造られた存在なので、アンドロイドへのプロパカンダとして計画を立案し、機械生命体に対抗しようとするのも不思議ではない。
「黒の書」には人間の魂である「ゲシュタルト」が込められており、傲岸不遜なその性格からヨルハ型アンドロイドが人間と同じように振る舞うことを許さず感情を禁止した、といったところだろうか。

しかし機械生命体への情報漏洩を計画に織り込むことに、いまひとつ説得力のある理由が思いつかないため、真の黒幕としてはネタの域を出ないかもしれない。
 
 
 
 

今回の考察は以上となる。
情報が明かされたことで新たな謎も増え、『NieR:Automata』はもうしばらくプレイヤーの関心を集めることになりそうだ。
この記事で書ききれなかったものも多くあるため、興味のある型はぜひ設定資料集に目を通してみてはいかがだろう。
加えて、皆様の意見や感想、質問などをいただけると幸いだ。

 

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21 Comments

  1. ニーアオートマタの小説にて色々と語られているのでそちらを読めば色々わかります。しかし、この考えの繰り広げ方には感動しました。ありがとうございます。

  2. 久々にニーア・オートマタのことが見たくなり、
    ゲームをやっている暇がなかったので動画やネット資料を漁っていたところ、
    こちらにお邪魔しました。

    で、私がそれらを見て廻った結果、恐らく間違いないであろうという以下の結論に至りました。
    ・月面人類サーバ
    月面人類サーバの正体は他の方も書かれている「巨大樹」であろうと思います。
    正確には「巨大樹がネット上のバックアップデータから自ら再構築したもの(複製)」です。
    巨大樹本体はカイネにて破壊されています。
    しかし、「巨大ネットワークコンピューターの端末」である以上、バックアップをしていたはずで、ネットワーク上にバックアップを取っていたとするのが自然です。
    さらに、カイネと戦った時に出てきた「機械人形」、「オートマタ」は「機械人形」とも訳せます。

    ・エイリアン
    外宇宙からの宇宙人とのことですが、もしかしたら外宇宙に逃れた人類のなれの果てかもしれません。
    そもそも、災害が起きた時に人が先ず行うことは「対処」でも「予防」でもなく「救出・避難」です。
    しかし、ニーアの世界線では「対処」(対レギオン・レッドアイ戦争、魔素解析)「予防」(ゲシュタルト計画)はあっても「避難」がほとんどないんです。
    ゲシュタルト計画が「避難」とも取れますが、技術の確立に時間がかかるのは明白ですから、
    その前にまず人間の姿のまま避難させるはずなのです。
    ですから、本来ならば地球からの脱出が計画・実行されてもおかしくないはずなんですが、それが計画もしくは実行されたという資料はほとんどありません。
    ここは違和感を覚えざるを得ません。

    次に、白塩化症候群が肉体と魂を分けることでかからないということは、この病気(呪い)は人間の肉体のみに直接影響を与えるということです。
    ならば、体を変えてしまえば問題ないという案が出てもおかしく無いと思いませんか?

    以上のことから、私はエイリアンは外宇宙に飛び立った人類が何らかの方法で植物のような体を得て再び地球に戻ってきたという説を立てたいと思います。

    ・機械生命体
    機械生命体の正体は「(旧)人類」です。
    正確には「植物性のコアにゲシュタルト体を融合させたものをロボットの体に入れたもの」です。

    私が考査サイトやネタバレサイトを廻って不思議だったのが、
    何故、誰一人として「ゲシュタルトニーアを管理していたのは誰で、どこなのか」「コールドスリープであれば崩壊を止められるのに何故『人類滅亡』したのか」ということを十分に考査していないのかということです。

    結論から言えば、ゲシュタルトニーアを管理していたのは恐らく(旧)人類であり、厳密には人類は滅亡していません。
    管理はアンドロイドだと考えているのかもしれませんが、アンドロイドはあくまで人類に作られた存在であり、研究者として魔素研究やゲシュタルトニーアなどを管理できるとは思えません。
    まして、アンドロイドが創造主たる人間であるニーアを1300年も騙すようなことをするでしょうか?
    よって、そういったコアな部分は人間が行っていたとするのが自然であると考えます。

    しかし、ここで疑問として、ならば、その人間はどの姿で研究・ニーアを管理していたのでしょう?
    人体?いや、白塩化症候群があるのにそれは考えにくい。ではゲシュタルト体?いや、崩壊体になる危険性がある以上、それも考えにくい。
    では、どうするか、上の「避難」の考えを合わせると答えが出ます。
    すなわち、地球外、(衛星軌道上や月面など)に逃れた人類が行っていたのです。
    さらに、これはゲシュタルト体保管のリスク分散にもなります。
    ゲシュタルトニーアの住処及び保管庫として石の神殿が出てきますが、ゲシュタルトニーアは騙されていたことに激怒し人類側から離反しているわけですから、それまでにいた所を拠点とするよりは、研究所を出て石の神殿に移ったとするのが自然です。
    実際、石の神殿にはほとんど研究機材も研究員もいませんでした。アンドロイドが石の神殿で管理していたというのであれば彼らの姿があってしかるべきです。(生死に関わらず)

    よって、人類は宇宙に逃れ、そこで多くのゲシュタルト体をコールドスリープにさせていると考えられ、
    それをエイリアンたる(新)人類に利用されたのが機械生命体であると考えます。

    ・ヨルハ計画
    月面サーバ(巨大樹)は機械生命体が(旧)人類であるとわかっていた可能性があります。
    そうでなければ機械生命体に侵入された形跡を抹消したり、バックドアを仕掛けるのは不自然だからです。
    では何故ヨルハ計画を行おうとしたのでしょう。
    巨大樹はその性質上「人類の情報を採取し続ける」様にプログラムされています。
    人類の情報とは繁栄と言ったプラスだけではなく、争いと言ったマイナスのものも含まれます。
    しかし、よく見ると、ニーアの世界では人類同士の戦争の情報がほとんどないのです。
    「オートマタ」の時点で人類同士の戦争が行われたのは何万年も前。わずかなものしか残っていないでしょう。
    そこで、巨大樹は「人類」同士を戦争させるためにヨルハ計画を立ち上げるように仕向けたか利用したのではないかと私は考えます。
    ヨルハ機体は機械生命体のコアで作られていますが、これが(旧)人類の魂であるとすると、
    これにより、「人類同士」が「兵器」として戦争でどのように戦うかのデータが取れます。
    アンドロイドに魂を入れることで自我に目覚めるように仕向け、自我が目覚めた九号に機密をあえて漏らすことで計画を利用したのかもしれません。

    結論:
    では、上記の話を総合するとどうなるでしょう。
    以下の様に考えられます。
    白塩化症候群発生。
      ↓
    衛星軌道上もしくは月面に避難した研究者たちがゲシュタルト計画発動。
      ↓→人類の一部は避難民として外宇宙へ
      ↓              ↓
    ゲシュタルト計画失敗       ↓
    (ニーア・レプリカント)      ↓
      ↓(→ここで地球脱出した?「ゲシュタルト計画報告書11『次世代保存計画』」)
      ↓              ↓
    研究者など宇宙に逃れた人は    ↓
    ごくわずかでしょうし、      ↓
    物資の問題などでじり貧になって  ↓
    活動体としての「人類は滅亡」   ↓
      ↓              ↓
    外宇宙に旅立っていった(新)人類が植物性の体を獲得して帰還。
    衛星軌道上でコールドスリープになっている(旧)人類(ゲシュタルト体)を発見。
    しかし、地球上はわけのわからないAI「巨大樹」が支配するアンドロイドの世界になっていた。
      ↓
    (新)人類は「巨大樹」及びアンドロイドを排除するために侵攻
    しかし、逆にエイリアンとして認識されたエミールにフルボッコにされる。
      ↓
    (新)人類は数を減らしたため、兵器として軌道上の(旧)人類を使うことを選択。
    ただしゲシュタルト体のままだと不安定であるため、入れ物が必要。
    しかし、自分たちと同じ植物性の体は脆弱。
    なら、武装も兼ねてロボットの中に入れればいいんじゃね?→コア化して格納
    →「機械生命体」誕生!
      ↓
    (新)人類及び機械生命体の侵攻に対して、「巨大樹」は「機械人形」(オートマタ)を作り出して対抗
      ↓
    P-33が機械生命体に自我を説いたことで
    兵器として作ったはずの機械生命体が自我に目覚める
    (元々人間の魂なのだから目覚めて当たり前)
      ↓
    機械生命体((旧)人類)、自我に目覚めたことで自分たちを支配しているエイリアン((新)人類)を敵視。
    「敵を殺す」というシステムも相まってエイリアン((新)人類)を滅ぼす。
      ↓
    「世界樹」と情報戦をする間に相互理解が進み、「世界樹」は機械生命体が「人類」であることを理解。
    結果として、「殺す相手が必要」な機械生命体と手を組む形で「ヨルハ計画」を利用。
      ↓
    自我を持つことでネットワークから離れる機械生命体が出現
      ↓
      ↓→ネットワーク機械生命体、地球を離れる。
      ↓
    人類サーバ(巨大樹)、機械生命体が「人類」であることを理解しており、
    敵対行為もないことから機械生命体を攻撃する意義がなくなり、
    機械兵器戦争の終結を宣言。休戦協定を締結。

    こう考えることで、ほとんどの疑問が解決できると思うのですがどうでしょうか?

  3. うぉぉぉぉ!!!NieR:Automataしかぷれいしていないんですが、とても丁寧で読みやすかったです!!面白い考察ありがとうございます!!

    • 楽しんでいただけたなら私も幸いです!
      考察としてはかなり甘い部分もあり、実際の設定や背景とは異なる部分も多々ありましたが、私自身とても楽しく記事を書かせていただきました。
      コメントでいただいた皆様の考察や感想、情報提供やご指摘のおかげです。

      ニーアとそれに連なるDODは考察するのも楽しいシリーズです。
      まだまだたくさんの謎が残されているので、ぜひ物語の背景に想像を巡らせてみてくださいね!

  4. とりあえず二人とも無事に再起動出来てよかった。A2の消息が不明だけど

    2Bと9SもA2みたいに次世代ヨルハE型に追われることになるのかな
    それとも戦いが終結したことでヨルハ計画も中止かな

    三人のメンテナンスをどうするかが残った問題やね。デボルとポポルももういないし
    ブラックボックス駆動じゃない通常のアンドロイドの義体に自我データを移すことってできるのかな

    • コメントありがとうございます!

      ヨルハ計画のその後、気になりますね。
      機械生命体との戦いに向けた戦意高揚という当初の目的は、和平締結の時点で一先ず完了しています。
      しかし、アンドロイド自体の存在意義に人類が必要なのであれば、人類生存という偽情報は今後も利用されるかもしれません。

      記憶を含めて復元された2Bたちは、その後どのように生きていくのでしょうか。
      ある意味では人類という枷から解き放たれた存在でもあるので、それぞれの生きる意味を新たに模索していくことでしょう。
      他のアンドロイドにとって人類という存在が必要なのであれば、わざわざ真実を暴露することもないでしょうし、お互い不干渉であるのがもっとも幸せなのかもしれません。

      自我データについては、ブラックボックスに保存されているわけではないようなので、通常のアンドロイド義体に移すことも可能だと思います。
      しかしメンテナンスはたしかに大きな問題となりそうですね……。

  5. うろ覚えなのでもしかしたら間違っているかもしれませんが、ネタバレ座談会にて、イヴの人格にはヨナが影響しているわけではない、という趣旨の発言をヨコオさんがされていたように思います。
    であればアダムも同様かと。
    また、アダムがイヴの事を自分と同じ(ネットワークに繋がっているため)と感じているのに対してイヴは人格として一歩進んでいて、アダムを自分と別の人(=にいちゃん)と捉えている、というお話もされてたかと思います。

    • コメントありがとうございます!
      記事ではご覧いただいたように考察しているものの、アダムとイブの人格にニーアやヨナが関わっているというのは、ちょっとあからさま過ぎるかなとも思っていました。

      機械生命体にとって個を自覚することが進化に繋がるのかもしれませんね。
      ネットワークで繋がっていることが機械生命体の証左であるとすれば、そこから脱却することで別の独立した存在になれるのかもしれません。

  6. コンサートの朗読台本より
    ヨルハ計画立案者は人類軍の技術開発主任担当・ジニアですが、サーバー管理をする衛生起動基地から情報が漏れる恐れがあり、彼自身もこの計画はおかしいと廃棄予定だったようです。
    しかし彼が作っていたヨルハ型素体のベースモデル・九号がブラックボックスの秘密を知ってしまい、暴走し、計画を書き換え本編通りに次世代転換期にバックドアを解放し機械生命体にバンカーを攻撃させる形になりました。

    …これはコンサートBD出すと同時に台本も付けてくれないと不公平な…

    • 連投すみません。
      朗読台本には資料集でも謎だった部分がだいぶ埋まる感じの内容が載っていますので書ききれませんがBDに付属される事を祈ります。
      資料集年表最後の方の黒塗り部分も台本があればわかります…

      • コメントありがとうございます!
        なんと、そんな重要な情報が明かされていたとは……。
        やはり朗読劇の内容が鍵になっていたんですね。

        年表黒塗りの部分も気になっていたので、ぜひ商品化していただきたいです!

  7. 巨大樹が黒幕の本命でしょうね
    機械生命体もエイリアンも巨大樹が作ったと思いますし
    アンドロイドは反乱部隊みたいな物で人類を再生させるためのちょうどいい敵で全滅させないように手加減して戦いを煽ってる気がする

    • ご意見ありがとうございます!
      進化を促し、人類を再生するために巨大樹が手を引いているのだとすると、人類軍は今後も試練に立ち向かっていくのかもしれませんね。
      次回作という素敵なワードが頭をよぎります!

  8. コンサート朗読劇の台本も参照すると良いかも、です。
    → CDもしくはDVDで、出て欲しいですよね…。

    • コメントありがとうございます!
      朗読劇、見れてないんですよね。
      何かあるだろうなとは思っていましたが、やはり何かありましたか。

      CDやDVDが発売されたならぜひ欲しいです!

  9. 私は今作の黒幕は前作に登場した巨大樹ではないかと思っています。
    理由は・巨大樹も塔システムも、自我を支配し洗脳する事ができる。
    ・巨大樹も塔システムも、記憶情報を集めている。
    ・巨大樹も塔システムも、ネットワークの集合体となる。
    ・巨大樹も塔システムも、コピーモデルを作ることができる。
    ・巨大樹も塔システムも、自我が芽生え、これまでの経緯を見て判断し”結論”を出した。
    従来のロボットをベースに、旧時代の工場廃墟の設備を活用し機械生命体を創り出すことも可能ですし塔システムが保存していた人類に関する大量の機密データは、実はアンドロイド側から奪ったものではなく、初めから巨大樹が蓄積していたデータと考えてもあり得そうです。
    又、「次世代保存計画」もレプリカント体の代わりにアンドロイドを使い、人類を復活させるために作られた計画とも考えられます。進化を促すために機械生命体とアンドロイドを戦わせ、熟成された器に人類の魂を戻そうと巨大樹が判断し機械生命体とアンドロイドを戦わせたのでしょう。たまたま地球を訪れたエイリアンを口実として利用し、「エイリアンが機械生命体を創った」とダミー情報を流し、双方を戦わせる理由を作った。と考えれば巨大樹が黒幕の容疑者に上がるのでは?と思いました。

    • ご意見ありがとうございます!
      大変興味深い考察です。

      巨大樹についてはやはり気になるところです。
      機械生命体は巨大樹からも情報を吸い上げていたとヨコオ氏が語っているので、少なくとも近年まで存在していたのは間違いありません。
      アンドロイドと機械生命体の戦いに裏で糸を引いていた存在がいるとすれば巨大樹かもしれませんね。